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靴ではなく、「ステファノ・ベーメル」という価値を手に入れる。大切にしたい1足が必ず見つかる。
先入観は捨てることだ。イタリア顔のローファーでしか味わえない時間がある。
引きの強いローファーに出会ってしまった。
http://unionworks.blog118.fc2.com/blog-entry-1826.html
妻の買い物に付き合わされて出かけた時に、このローファーと出会ってしまった。彼女は友人へのプレゼントを選びたいというので、時間を持て余した私は紳士フロアで待っていると告げて馴染みのスタッフがいる靴売り場に吸い込まれたという訳だ。
既にアメリカ、フランスの名品と言われるローファーは持っている。さて、どうしたものだろうか。これまではイタリア靴は押しの強さに腰が引けて、自分には似合わないという先入観が勝っていた。それにしても、この靴がもつ引力には抗えない。
長く見惚れていたのだろう、女性スタッフが声をかけてきた。しかし、試着すれば気持ちが揺らぐことは自分が良く知っている。彼女の説明は的を得ていて、余計なうんちくは無いので気持ちがいい。印象に残ったのは創業当主が若くして他界したこと、その遺志を継いだ職人が2名の日本人女性ということ。やるじゃないか日本人。
ためらわず、日本人としての矜持を共有する。
https://riddlemagazine.com/stefano-bemer/
『素敵ね。』折よく?妻がフロアに降りてきていた。『これで奥さまとドライブなんか羨ましいですねぇ。』女性スタッフは妙に妻と仲がいい。しかし頭の中では地方都市の大学院へ進んだ娘のところへ行く、秋の予定とシンクロし始めていた。紅葉を楽しみながら、車で向かうつもりだ。
柿色のコーデュロイパンツがいい。気慣れたデニムジャケット、寒ければ大判のカシミアで肩を包むようにすれば問題ない。娘が暮らす北の街は、妻のふるさとにも近い。寒くなるにつれて、魚がおいしくいなるという。三人で食事をするのは久しぶりだから、この靴を連れ出せばいっそう思い出が深くなるに違いない。ゆっくりとした時間を楽しめそうじゃないか。
ニッポンの美意識が、イタリアとの国境を低くしている。
http://stefanobemer.com/about/
実は海外の靴工房で修行する日本人は意外に多く、特にイタリアには多くいるのだと聞いたことがあります。その先駆けがステファノで働くふたりであったかは確認できませんが、彼女たちの頑張りが後進の背中を押したことは間違いなさそうです。
日本人のマジメさ、実直さは海外では良く耳にする言葉ですが、それだけでは超えられない意識の違いを私たち日本人は持っているだと思っています。他と比べるのはなく、独立した価値を重んじる気質が備わっているのだと思います。
https://www.imn.jp/post/108057194918
そうした日本人ならではのアイデンティティがステファノ・ベーメルという形を成したとき、それまでとは違うブランド力を発散し始めたのだと、今のステファノの作品を見て感じることが出来ます。国や人種、宗教などとは違う次元に、ステファノという価値が息を潜めているのです。