2018/07/24

スペイン靴の至宝。「マグナーニ」の革靴は魅力と魔力を備えている。

マグナーニという媚薬。溺れてもいいという覚悟で手に入れる。

http://openers.jp/article/16983

例えば新宿の百貨店、メンズの靴売り場。そこにマグナーニが陳列されていれば、多くの人は目を止め、手にとりたくなると思います。なぜか?明快に魅力的だからです。挑発的なロングノーズ、艶やかな質感、濡れたような色調、そして価格。挙げればキリがありません。そして理由など意味をなしません。

https://www.hankyu-dept.co.jp/mens/blog/04/00165404/?catCode=501001&subCode=502004

一見するとイタリア靴の印象を覚えるのですが、実はスペインというのもひと癖ありです。闘牛の国、スペイン。情熱の国、スペイン。扇情的な血筋が、このような製品作りに宿っているのでしょう。ひとことで言えば『ラテン系』

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薄暗い酒場(バル)で出会った優男。組んだ足元に覗くマグナーニの鈍い誘惑。衝動を抑えきれないなら手に入れることです。媚薬か毒か、判断はご自身の責任で。これより、マグナーニの奥深さについてご紹介していきます。

 

マグナーニの歴史。60余年前、スペイン東部で生まれた。

https://twitter.com/magnannifans

1954年、スペイン東部の町、アルマンサで創業された小さな靴工房が始まりでした。意外ですが、新しいブランドなのです。当時のブランド名は「ブランガル」。その後シューズデザイナー「パスクァル・ブランコ・マルティネス」を迎え、「マグナーニ」が誕生します。

http://www.boq.jp/special/2009/magnanni/index.htm

54年と言えば、忌まわしき第2次世界大戦が終了して間もなくのことです。ヨーロッパの多くの国は新しい秩序である資本主義に向い始めます。マグナーニはその息吹や熱気とシンクロするような誕生しました。人や物の行き来し、流通が自由化され、何と言っても様々な市場が地球規模で広がり始めます。

https://twitter.com/magnannifans

「パスクァル・ブランコ・マルティネス」は商才にも長けた人だったようです。ブランド名を改めるだけでなく、企業の方針を「クオリティー」と「デザイン」を重視した“エレガントなスタイル”へ転換(アップグレード)します。

この転換が功を奏し、自国スペインやヨーロッパ諸国だけでなく、大西洋を越えアメリカまでも市場にすることに成功するのです。大航海時代、世界を席巻したスペインという底力が再び解き放たれます。

 

マグナーニの特徴を知る。

マグナーニは離さない。ボロネーゼ製法という罠にハマる。

https://www.pictaram.org/post/BXMW-skh_pd

日本人にとって、いや日本の生活様式にとってひとつだけ難点があります。マグナーニは足入れが少々難儀なことです。もちろん紐を緩め、またはストラップをはずせば問題なく入るのですが、脱ぎはきが頻繁であれば、やはり面倒に感じるでしょう。

とは言え長時間履きっぱなし、それでは圧迫感は否めません。それを解消してくれるのが、独特の製法です。

https://www.queenclassico.com/fs/qrcweb/18933bk

ボロネーゼ製法と言われ、イタリア靴に多く見られるマッケイ製法から派生したと伝えられています。
マグナーニは英国靴などに比べ細いフォルムなのですが、窮屈さは感じられません。というよりも、内側の革を袋状にすることで足先を優しくホールドしてくれます。『まるで靴下のまま歩いているようだ。』とか『皮製のスリッパのようだ。』など。

ですから、足入れし、かかとが決まったら紐はキチンと結び、ストラップもしっかり締めましょう。マグナーニ本来の美しいフォルムが整います。

マグナーニの真骨頂。ハンドフィニッシュの妙技、つまり色のせ。

https://www.hankyu-dept.co.jp/mens/blog/04/00224804/?catCode=501001&subCode=502004

マグナーニの濡れたような色調が物欲を掻き立てます。色入れの工程ですが、イタリア靴にもみられる技法で無垢の状態から色をしみ込ませていきます。もちろんすべて職人による手仕事です。同じブラウンであっても濃い・薄いを使い分け、職人ならではの勘が頼りの作業が続きます。時には数時間放っておくこともあるのだとか。

https://www.hankyu-dept.co.jp/mens/blog/04/00165404/?catCode=501001&subCode=502004

それは職人の気紛れではなく、計算なのです。気温や湿度の違いから、しみ込む様子をうかがっているのだそうです。

待っている間、近くでサングリアを一杯。またはシエスタを決め込む。スペイン人は、時間の使い方も陽気です。工程を重ねることで、最終章へ近づいていきます。ブラウン靴なのにトゥとヒール部分に黒を重ねる捻り具合に、ため息がこぼれます。製法上、コバが目立たない事もあってどこまでもソリッドな革の質感が伝わってきます。

https://www.hankyu-dept.co.jp/mens/blog/04/00165404/?catCode=501001&subCode=502004

さて気になるのは日々のお手入れをどうするか。
気遣いが重なったマグナーニなのです。せっかくのグラデーションが塗りつぶしてしまっては台無しです。信頼できるシューシャイン職人を見つけましょう。彼らの豊富な知識と技量がマグナーニを次のステージに押し上げてくれるでしょう。

マグナーニと言えば、オパンケ。オパンケと言えば、マグナーニ。

https://www.queenclassico.com/fs/qrcweb/20259lbr

音だけを聞くと『ん?』という、やや間抜けた印象がありますが実際は相当に『小聡明い=あざとい』、マグナーニの代名詞と言ってもいい製法です。

靴底の土踏まず部分を左右に引き上げ、側面に縫い付けることでフィット感を増す施法をオパンケまたはオパンカ製法と呼んでいます。

マグナーニはそもそも細いフォルムなのですが、この絞り込み施すことで縦方向の流れをさらに強調しています。足入れによる横への拡がりを矯正し、フォルムの美しさを保ってくれるのです。

https://www.queenclassico.com/fs/qrcweb/20260dbr

と書くと『見た目』だけの製法かと誤解されてしまいますが、土踏まずを絞り上げる製法はアメリカ靴の重鎮『オールデン』にも見られ、ホールド感が増し、長時間着用していても疲れないという効果があります。ただ『オールデン』はソール全体をシェイプすることでフィット感を与えてくれますが、オパンカの場合、土踏まずだけを別の革で釣り上げるという大きな違いがあります。

さらに、そのパーツの色を遊ぶこともスパイン人は忘れませんでした。さらにさらに縫い込むステッチの刺し方や、時にはその色まで変えるという天邪鬼さです。まさに『小聡明い=あざとい』

http://www.nejimakiblog.com/entry/magnanni-shoes-mens-shop-buy

足を組み替えた時、側面から土踏まずを包む革底が見え隠れします。それはひっそりと息をひそめ、獲物を待つ爬虫類の割れた舌のようです。マグナーニならではの艶やかな仕掛けに捕獲されても致し方ありませんね。

 

マグナーニに酔いしれる。定番アイテム紹介

http://gentamatsu.jp/wp/event/330.html

これまでデザインや色調について記述してきましたが、遊びを加えながらもいやらしさや際立ち感がないのはなぜか?マグナーニはもちろんメンズ靴の基本もしっかりおさえています。以下のような4つの定番デザインから紹介していきます。

ストレートチップ Black

ローファが革靴デビューだとすれば、次に選ぶのはこういうタイプが相応しいと思います。シンプルなデザインのストレートチップにもロングノーズなマグナーニの表情がしっかりと現れています。ビジネスからフォーマルまで幅広く活躍してくれるはずです。

キャップトゥ

キャップ(穴飾り)がつま先を中心に装飾された、遊びを感じる一足。このモデルはブラウン系のグラデーションが足元を華やかに、そして怪しく演出します。ライトグレーのパンツに合わせれば、軽やかな印象さえ残すでしょう。気取りのないシーン、パーティなどにお誂えです。

 

モンクストラップ

金具があるので、ハードな印象がありますがマグナーニの手にかかればエレガントに落ち着きます。このモデルはダブルモンクですがデニムからスーツまで守備範囲が広く重宝するはずです。さらにオパンケ仕様なのでドレス感がぐっと増しています。素材はスエードも捨てがたい魅力があります。

ホールカット

デザイン的には外羽根式のプレーントゥです。しかしデザインだけでなく、製法が、美しく具象化したお手本です。継ぎ目のない1枚革を使い、足を包み込むように釣りあげまます。無駄を排し、機能が形作る潔さがあります。良質の革を使い、黒でもブラウンでも色は問いません。

 

マグナーニの商品紹介。エレガントなアイテムも多数。

前章ではマグナーニの定番を紹介しました。ここではよりエレガントな商品をリストアップしました。

スリッポン・ローファー Rigo Cognac 

ローファーといえばカジュアルな印象がぬぐえませんが、これはまったく違います。トゥを細く、甲部分を長めにとることでジャケパンはをもちろん、スーツでもいけますね。シャープで細いパンツにもいいのですが、たっぷりとした麻のパンツにも相性がいいと思います。お勧めしませんが、ラテン系を気取るなら踵をつぶして履いても様になるかも知れませんね。

ストレートチップ Blue

デザイン的にはごく【真面目な】ストレートチップですが、色にやられました。染めた革を縫い合わせるのではなく、あとから色のせすることで醸しだす【ムラ】がそそります。
そのままの発色が気になるなら、黒を重ねて自分だけのマグナーニに仕上げることも可能です。チャコールのスーツにはまります。

 サイドゴアブーツ Black

なんとも潔い、マグナーニらしからぬ捻りを感じないブーツです。しかし両脇のゴム部分の切れ込みや、黄色いソールに【らしい】意匠が隠されています。そして削りとられたようなトゥの形状に男くささが残っています。ポールウェラーを真似てモッズを気取るも良し。501に会わせてウォーホールに成りきるも良し。

 

まとめ マグナーニを手に入れる。その流儀とは。

https://www.queenclassico.com/fs/qrcweb/c/MAGNANNI

所得が高いとか、時計はこれで、車があれでという事でもありません。これまで人生とどのように向かい合ってきたか。いったん平静(ニュートラル)になることでマグナーニとの距離がぐっと近づくように思えます。

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伊集院静氏の人気シリーズ『男の流儀』でたびたび繰り返されるのは『急ぐな。』という事です。さらには『すぐに効くものほど、すぐ効かなくなる。』とも。そしてもっとも印象深いのは『どれだけ失敗をしてきたか。』と。

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マグナーニは匂いたつような個性を放つ靴です。それを目立たずに、手懐ける。相応しい人生のしわや溝を背負って欲しいと思うのです。乗り越えてきた困難や失敗、それを共にしてきた歴代の靴がどういうものであったのか。つまり、男の履歴書はどのようであったのか。そして溺れる覚悟は必要ですが、決して溺れないことが肝心です。