2018/07/24

「ウイングチップ」の革靴について徹底解説。あなたは英国派?それとも米国派?

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まず、ウイングチップの定義について考察しましょう。上の写真はチャーチがプラダグループ傘下となり、それまでにはない解釈で発表されたスタッズがレイアウトされたウイングチップ、バーウッドです。メダリオンなどの穴飾りにスタッズを埋め込むという発想は、それまでチャーチを意識しなった新しいファンづくりに貢献しました。

ここで注目してほしいいのはつま先部分の切り返しがWになっている部分です。つまり。これをして羽根の形=Wingに見えることからウイングチップと呼ばれるようになりました。下の写真はスタッズのないオリジナルのバーウッドですが、同様にWing模様がありすね。

ウィングチップと呼べるのは、この意匠がある事なのですが、そのほかにも様々な特徴があります。興味深い違いもあるので、じっくり付き合ってください。着こなしの深さが増すはずです。

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ウイングチップの二大派閥 英国派と米国派

https://item.rakuten.co.jp/micce/alden-97657y-wingtip-shoes-8

写真は今やアメリカ靴の代表格オールデンのウインチップです。つま先部分にWの切り返しがあります。そして前述のチャーチのバーウッドと見比べてみてください。特徴的な違いがあります。分かりづらい場合は下のは写真、こちらはブラウンのバーウッドです。Wの切り替えしの形が違う事に気付くと思います。

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バーウッドは内羽根式で、オールデンは外羽根式、構造上の都合からそうした違いがうまれるのかと思いきやそうではないようですね。以下では同じ外羽根式のウイングチップで英国・アメリカを比較してみました。

英国式 ウイングチップ トリッカーズ

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その歴史については後述しますが、ウイングチップの源流はカントリーシューズです。カントリーシューズと言えば真っ先に思い出されるのがトリッカーズではないでしょうか。ミドルカットのカントリーブーツは辛い秋冬の足元をしっかり守ってくれる頼もしい相棒です。

デニムやツイード、コーデュロイパンツとの相性は格別です。これを履きバブアーでも羽織れば、多少の雨や雪でも大丈夫です。

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さて、横顔に注目です。Wの切り返しがソールに向かって落ち込んでます。そして立ち上ってくるとヒールを包み込んでいます。(※デザインによって多少違いがあります。)

アメリカ式 ウイングチップ リーガルオリジナル

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前述のオールデンのほうが分かりやすいかも知れませんが、横顔の違いが分かると思います。アメリカに渡ったウイングチップになぜこのような違いが出来たのかは詳しく探れませんでしたが、アメリカ人の大柄な体格の違いに起因しているのかも知れませんね。

イギリス式のほうが、上にスッと登るように立っていて、アメリカ式はどっしりと質実剛健、踏ん張りが効く印象があります。同じウイングチップですが、お国柄?と言える違いです。外からでも分かるので『それは英国式だからブランドはジョンロブかエドワードグリーンかな?』となるわけです。

ウイングチップの歴史 そしてブローギングについて

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この写真はイギリスビスポークシューズの名門ポールセン・スコーンの作品ですが、上記の定義からするとウイングチップではありません。しかし似ています。つま先の穴飾り(メダリオン)や切り返し部分にも装飾が施されています。

この穴飾りをブローグと呼びますが、ウイングチップにもこちらの靴にも共通しています。このように穴飾りが見られる靴は、ブローグシューズ(またはブローギングシューズ)と呼ばれていて、ふたつの靴は同じ源流から派生したものなのです。

ブローグシューズは16世紀ころ、アイルランドまたはスコットランドで誕生したと言われています。酪農や牧畜などが主な産業で、農作業用のく靴にルーツを見ることができます。つま先の保護のため、また半端な革をはぎ合わせて作りることで独創的なデザインにつながったようです。

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穴飾りは、雨で濡れたり汗などの湿気を逃すあめに開けられ、それぞれの紋章のようにデザイン化されました。現在では飾りとなっていますが、当時は機能的な役目を担っていたのです。また紐の開け閉めが簡便なこと、でフィット感がいことから、構造も外羽根式が主流でした。

ブローグシューズは、ウイングチップのように穴飾りの多いものを『フルブローグ』、ポールセンスコーンのようにストレートチップでつま先部分を中心に穴飾りがあるものを『セミブローグ』と呼び区別するようになりました。頑丈な作りとデザインを継承しながら、町でも履けるように改良されていったようです。

英国式では構造においても内羽根式が組み込まれるようになり、クラシックなニオイを残しながらドレス感も備えたものが増えてきました。源流が働くための靴ですからビジネス対応ですが、主張の強いフルブローグよりは、セミブローグ程度のほうが汎用性が高いように案じます。

ウイングチップの濃さを堪能 英国・アメリカの名品たち

デザイン的にウイングチップと呼べるモノは他国にもあるでしょう。しかし、ここでは敢えて両国の名品、特に土のニオイが似合うものを選んでみました。それぞれの『濃さ』を味わってください。

エドワードグリーン インヴァネス 英国

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名品インヴァネスです。フルブローグでありつま先のメダリオンのレイアウトが上品なので、濃さが中和された印象です。内羽根式という構造もそれを後押ししています。しかし大きな理由はやや鋭角的な木型の違いにあるようです。

のちにガジアーノ・ガーリングを立ち上げるトニー・ガーリングがエドワードグリーンのデザイナー時代に削りだしたもの。より現代的であり、出身地イタリアのニオイも感じさせてくれます。黒を選べばビジネスシーン、ブラウンを選べばオフショットで活躍が約束されます。

ニュー&リングウッド ウイングチップブローグ 英国

https://www.newandlingwood.com/mens-sale/classic-shoes/wing-tip-brogue-oxford-shoes-mid-tan

いっときリーガルがライセンス製造してましたが、日本ではあまり馴染みのないブランドです。イギリスでは名門校の御用達シューズというステータスを持っていて、確かな作りでありながらリーズナブルな価格でビジネスマンになってからも愛用される由緒あるブランドです。

こちらも内羽根式を採用し、現代に見合ったスペックを提供していいます。しかし、ややムラのある質感が土のニオイを連想させます。雨に濡れ、適度に傷つくことでこの靴のもつ背景や『濃さ』が立ち上ってくるでしょう。ソールをラバー仕様に替えて、ガンガン履きたい一足です。

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フローシャムインペリアル ウイングチップ コードバン アメリカ

http://www.t-8intl.com/wingtip/wingtip558.html

アメリカのウイングチップであることを、これほど主張する一足は他にあるでしょうか。素材にコードバンを使う事でさらに胸を張りだした印象さえ感じます。1960年代アメリカの反映を象徴するようなフローシャイムのビンテージシューズです。

アイビーリーガースたちのスポーツで鍛えたカラダでも、がっしりと受け止めらるようです。そのためにこのような包み込み意匠が生まれたのかも知れません。コットンスーツ、尾錠の付いたパイプドステムのパンツ、ベンチシートのアメ車。made in USA が憧れでした。

http://www.t-8intl.com/wingtip/wingtip558.html

ジョンストン&マーフィー ロングウイングチップ アメリカ

http://daiseike.seesaa.net/article/122599570.html

ジョンストン&マーフィはフローシャイム同様、豊かなアメリカを象徴するのようなシューズメーカーですが、いずれも生産地を海外に移すことでかつての威光が薄くなったの嘆く声が多いようです。またデザイン的にもこうした前後を包むようなウイングチップを、現代のアメリカシューズメーカーに見つけることが難しいという声もあります。

これは1960年代のロングウイングチップです。シボ革をコンビネーション使いすることで豊かな表情が生まれています。こちらもがっしりとした顔つきで、アメフト部OBに人気がありそうです。またクラシックな印象が強く感じるのは、履き込み部分、タンと呼ばれる先の部分がギザギザにカットされている箇所にあるようです。前に紹介しものを比べていただければ分かると思います。

英国製・アメリカ製 両方とも欲しくなる。

http://www.garyu-japan.com/shopdetail/003005000065/

フルブローグは飾りが多いから華やかな席に向いている、と思いがちですが間違いです。先に書いたように、ブローグシューズはもともと働くための靴であったこと、穴飾りは湿気取り名残りであることから、そういった席には向いていません。もちろん冠婚葬祭の席でも同様です。

ビジネスであれば、黒がいいでしょう。比較的くだけた、自由度の高い職場であればブラウンもありです。使い込むほどに味わいがますので出番が増えるかも知れませんね。頑丈な作りは出張にも向いているでしょう。適度な重さがあるので長時間歩いても疲れ知らずです。

https://ameblo.jp/lubys/entry-12296701091.html

休日などはデニムに合わせることでジャケットとのコーディネートが広がります。いろいろ使える頼もしい一足です。さて、英国、アメリカ どっちを先に手に入れますか。