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宮城興業のカスタムオーダーシステム 「謹製誂靴」に中毒性あり。

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靴好きにとって、日本の本格靴を語るならば決して忘れてはいけない、忘れることなど出来ない存在。それが宮城興業です。

確かな技術力を生かし、他ブランドの製造部門に特化し、サポートすることで自身の役割を全うしてきました。ですから、そうとは知らずに宮城興業の製品を経験しているユーザーも多いと聞きます。

特徴などを解説します。思い当たる靴、持っていませんか?宮城興業はオリジナル商品だけでなく、『謹製誂靴(きんせいあつらえぐつ)』というパターンオーダーが好評です。その取り組みを中心に企業の姿をお伝えします。

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宮城興業の精神:快適な靴をお届けしたい。それは靴職人としての使命感です。

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謹製誂靴(きんせいあつらえぐつ)、なんとも難しい、厳(いかめ)しいネーミングです。しかし実際は私たちの体、いえ足にやさしい作りになっているのです。靴本来の目的は『足を守ること』です。第二の心臓とも言われる『足』を守るために生まれました。

ですからその機能が果たせない、形だけの靴は『靴』と呼んではいけないのかも知れません。そして足の形にそい、長時間着用しても快適でなければいけません。

譲れないことがある。職人気質が出した答えは、顔が見える仕事をすること。

http://www.hicross.co.jp/blog/?p=328

かつて靴は町の靴屋で誂えるのが普通でした。つまりオーダー品が主流だったのです。商店街の一角には、古い靴屋があって既製品も並べてはいるものの常連客の誂えや修理の品を手際よく片付けていました。

店主はだいだいが頑固な職人気質で、靴墨の染み込んだ前掛けとずらした老眼鏡がトレードマークだったり。宮城興業もかつてはそういった業態からスターとしました。

しかし事業の展開とともにお客様との距離が生まれ、誰の靴を作っているのかわからないジレンマやストレスが生じてきたのだそうです。靴職人としての使命に従ったと言うべきかも知れません。周到な準備を重ね、お客様にお届けする靴を作る、つまり誂えた靴を謹んでお届けしたい、そんな思いが根底にあるのです。

本社を移転、仙台から山形へ。それは量産から良産への転換でもあった。

現在山形県南陽市に本社を置く『宮城興業株式会社』は、昭和16年宮城県仙台市で宮城工業株式会社として創業します。山形本社でありながら、宮城と名乗る所以はここにあったのですね。昭和27年、戦後の復興に邁進するころ本社を山形県に移し、企業としても再構築を図るため機械化を進めます。

その後、日本経済の成長に呼応するように事業を拡大、他ブランドの製造部門としての実績を重ねていきます。その中には旧リーガル社も含まれていました。

技術の修練につとめ、昭和44年英国A.BARKER & SONS LIMITED と技術提携し、合わせてBARKER SHOESの日本国内における製造販売権を得ることになります。ここで技術的な背景が完成します。

バブル崩壊という転換期。プライドと潔さを胸に、次のステップに向かう。

しかしバブル崩壊により取引先は生産拠点を海外へシフトし始めます。「量」に頼った仕事ではなく、少量生産しかも多様な注文に応えられる方向にかじを切る判断が要求されます。

技術力を最大限に生かした、どこの商店街にもかつてあった誂え靴の店・事業体へのスピンアウトが加速し始めました。謹製誂靴であり、後半で商品紹介するオリジナルブランドの誕生です。made in JAPAN さらにはmade in YAMAGATA というプライドが逸品を生み出しました。

http://kashi-kari.jp/lab/wp-admin/post.php?post=13908&action=edit

宮城興業は販売店を持たない。靴は売らず、技術を売る。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/11117?page=2&layout=b

完全フルオーダーが理想的ではありますが、手間と時間さらに費用がかさみまます。なかなか踏み込めない高いハードルがあります。そこで謹製誂靴はパターンオーダーシステムを採用する事にしました。

長年OEMに携わってきた産物として、多種多様、夥しいほどの木型が宮城興業にはありました。よほど特異な形状でなければフィットする木型が見つかります。または多少の修正を施せば満足につながるはずです。

木型が決まれば、次は素材です。これも木型に見合う素材を提案できます。さらに個人の好みや遊びにも出来るだけ柔軟に対応することを心がけています。

特約店という情報ネットワークを構築することで、お客様の顔が見えてくる。

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販売店を持たないというスタイルもユニークです。ではどのようにお客様の注文を承るのか?信頼できる特約店との連携がそれを可能にしました。そのネットワークは全国規模ではりめぐらされています。

しかもその業態は靴屋さんだけでなく、メンズファッションのセレクトショップが含まれているというもの特徴です。自分のスタイルに一過言を持ったユーザーに謹製誂靴は支持されているという証左だと言えるのではないでしょうか。

特約店とは十分なレクチャーを通じて商品情報が伝わります。一方特約店はお客様(多くは常連客)にその情報を伝え、要望や注文を聞きながら満足の一足を作りあげることが可能になります。パターンオーダーという方法でありながら、ビスポークにも比類する完成度が約束されるのです。

パターンを大別したことも、満足と信頼につながったようです。木型に頼るだけでなく、時流や志向を考慮した分析を加味しました。イタリアン志向にむくパターン、英国志向に好まれそうなパターン、またウィズの広い個性や快適性を重視するパターンなどです。特徴を簡単にまとめてみました。

ES Type デザインサンプル

サイトの説明では『どんな場面にも合わせ易いオーセインティクデザイン』とあります。トゥは程よくラウンドしていて、ONスタイルに似合うデザインが並びます。年齢問わず、安心できる一足が出来上がる予感が。

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CS Type デザインサンプル

サイトの説明では『とてもスタイリッシュなトレンディデザイン』チゼルトゥが美しい、シャープな印象です。イタリア志向、しかしフランスらしさも思わせる色気のあるデザインが誘惑します。若さで履くか、ロマンスグレーの余裕で迎え撃つか。計算が楽しみです。

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MD Type デザインサンプル

『オブリックラストを採用し、履き易さを追求したデザイン』とあります。ですがコンフォートシューズとは一線を画した躍動美があります。適度な重さもあるので、歩きやすさは保証できます。ロールアップしたデニムで若々しく、グルカショーツでコロニアル風に。守備範囲広し!

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以上のパターンから選びデザインを、素材を悩み、パーツごとの薀蓄を重ねて、さらにオプションを加えれば後は出来上がりを待つばかりです。足入れした時よりも、数週間して馴染んだ頃には次のシーズンに向けた一足を考えてる、そんな中毒性があるそうです。

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お客様との接点は日頃からお付き合いの深い特約店に任せ、宮城興業は作ることに邁進する。しかしそれは紛れもない、宮城興業のオリジナルブランドに他ありません。分業という双方のリスペクトがもたらす結実なのだと言えるのです。

商品紹介 made in YAMAGATA というプライド

謹製誂靴はネットなどで購入することは出来ません。前述のとおり、全国各地の特約店を通してのみ発注が可能です。ここでは完全オリジナル商品、自社サイトで通販可能なわずか4タイプを紹介します。

#100 Cap Toe Oxford

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ごくスタンダードなストレートチップです。安心できる一足。過度な説明は不要でしょう。

#101 Double Monk

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先のストレートチップの次は、こういう遊びも欲しくなります。週明け、パワーランチに連れて行きましょうか。

#102 Full Brogue Oxford

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クラッシックな面立ちの一足。街で履くカントリーシューズ。リジッドデニムとの相性も楽しめそうです。

#103 Apron Front Derby

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これも過度なコメントは必要としません。汎用性の高さは最右翼でしょう。メーカー的にはブラウン押しですが、あえて黒をプッシュ。

特約店との一体感が、お客様との一体感につながる。

特約店の店主に話を聞く機会がありました。年々お客様が増えているのだそうです。しかも2足目、3足目をリピートする方も少なくないと。そういうお客様に共通しているのは、凝ったアレンジはしないという事です。デザインを選び、後は色を黒にするかブラウンで遊ぶかという事ぐらい。細かいことは店主一任。

足し算ではなく、引き算の妙、限られたなかで遊ぶと言う『粋』に辿り着いたのでしょうか。主張するより、柔軟に受け止める、受け入れる。そうした信頼関係が良品を育てるのかも知れません。

特約店一覧 https://miyagikogyo.co.jp/cms/cms-shop