記事更新日:
アメリカ靴の最高峰との評価あり。根強いファンが「フローシャイム」を支えている。
フローシャイムと言えばコブラヴァンプという方も多いはず。ややのっぺりとした、ですが個性的なローファーに心を奪われます。しかしこれはニックネームで、正式名はユーマ(Yuma)。アイビースタイルには欠かせないアイテムなのです。クオリティの高い製品作りについて、また事業としては残念な経緯もあったフローシャイムの歴史にも迫ってみました。
https://ameblo.jp/garage-sale/entry-11955518585.html
素足にローファー。コブラヴァンプはTAKE IVY の象徴。
https://www.amazon.co.jp/Take-Ivy-Teruyoshi-Hayashida/dp/1576875504
1965年、1冊の写真集が出版されました。タイトルは『TAKE IVY』。アメリカ東海岸地区にある『アイビーリーガース』と呼ばれる8つの大学の様子をスナップしたものでした。キャンパス内を闊歩する姿、友人と談笑するシルエット、日曜日、教会へ向かうためタイドアップした笑顔。
それまで日本の雑誌を通じてしか得ることができかったアイビーファッションを、『生』の状態で知ることになり、当時の学生(早熟な中学生から大学生及び一般人含む)を中心に大きな話題となりました。
https://blogs.yahoo.co.jp/tom_and_rosemarie/17257615.html
その中でも特に話題になったのがローファーを素足履きする姿でした。着ているBDシャツはどこのメーカーのものか、その靴は?読者達は必死に調べました。そしてBass、フローシャイム、セバゴといったそれまで聞いたことのないブランド名を知ることになります。
なかでもコブラヴァンプと呼ばれるローファーは、独特のフォルムの印象から当時の若者の憧れとなりました。そのコブラヴァンプを作っていたのが『フローシャイム』です。アイビーリーガースと呼ばれる大学からは遠いシカゴ生まれのシューズメーカーですが、なぜ彼らが愛用するようになったのか?
https://ameblo.jp/speedaddict/entry-12004203762.html
詳しい記録は見つかりませんでしたが、そもそも両家のご子息が集まる大学ですから、良質なものを見極める目は肥えていたのではなかったかと想像できます。厳選された素材を用い、丁寧な作りからアメリカ靴の最高峰と称する根強いファンが現在でも多くいらっしゃいます。ですからデッドストックが見つかればあっという間に売切れます。そんなフローシャイムですが事業としては険しい道を歩んできました。
http://kawagutufurugichuuko.com/florsheim-1963-kenmoor
アメリカという国とともに歩んできた、骨太の歴史
http://www.florsheim.com/shop/aboutUs.html?pt_asset=MenuOurStory
とてもアメリカらしいと言えるかも知れません。1892年に事業をスタートさせてから順調な経営を続けるも買収~買収元が倒産~倒産からの独立 などなどを経て現在に至ります。以下では簡単な年表にまとめてみました。
五大湖に面した都市 シカゴで創業
http://www.florsheim.com/shop/aboutUs.html?pt_asset=MenuOurStory
1892年ミルトン・フローシャイムがイリノイ州シカゴの小さな工場で事業を始ます。フローシャイム社(Florsheim & Co.)がスタートします。クラッシックなスタイリング、良質な素材使い、そして丁寧な縫製技術が評判となり順調な成長を続けます。
確かなモノ作りだけでなく、販売や流通にも注力し直営店を開業します。その躍進は雑誌などでも取り上げらるほどでした。1900年代初めには、適切なフィット感を得るため蛍光灯を使って顧客の足を投影する方法も導入しています。
1917年第一次世界大戦ではアメリカ軍へ軍靴のサプライヤーといて採用されます。1936年ミルトンが亡くなり、息子のアーヴィングが同社を継承します。
転機が。International Shoe Companyによって買収される。
https://ameblo.jp/tomojin329/entry-12281096652.html?frm=theme
1941年第二次世界大戦においても、アメリカ軍の軍靴を生産し始めます。1949年にはシカゴのダウンタウンに最先端の工場を建設することで量産体制が整います。小売店では様々なデザインろ豊富なサイズを揃えることが可能となり、顧客が自由に選ぶことが出来るようになりました。現代では当然ですが、当時は革命的なことでした。この新しい手法は、全米の靴店で標準になっていきます。
1953年International Shoe Company(後のInterCo)が21億ドルでフローシャイム社を買収。1966年ミルトンの息子であるハロルドが同社の社長に就任。
1984年にはコンピュータを用いて売上から在庫まで一元管理するFlorsheim Express Shopを全米のショップに導入するなど革新的な手法で事業を発展させていきます。1987年ロナルド・ミュラーが社長に就任します。
更なる転機、オーナー企業が倒産。しかし再起に向けて。
しかし、1991年買収元のnterCoが破産。1994年InterCoから独立。1995年ミュラーが退任、チャールズ・キャンベルが社長に就任します。そして1996年社名をFlorsheim & Co.からFlorsheim Group Inc.に変更します。しかしこうした激動のなかでも、1980年代から生産拠点を海外に移すなど努力を重ね、クオリティとブランドを守る姿勢は崩すことがありませんでした。
2002年5月、Florsheimのライセンスは、Weyco Groupによって買収されます。しかし同社の経営には第5世代にあたる同族が加わる事になり、ミルトンが始めた家族の伝統は引き継がれることになりました。彼らは、品質、技術、フローシャイムならではのスタイルと伝統そして誇りを継承することに全力を尽くしています。
2017年は創業125年のメモリアルイヤー
http://www.florsheim.com/shop/aboutUs.html?pt_asset=MenuOurStory
2017年同社125周年を記念して、ヴィンテージスタイルをリスペクトした限定コレクションを発表しました。このコレクションは、とてもクラシックな5つのシルエットを再構築することで、ブランドが歩んできた道程を振り返るものでした。アメリカ以外からも注目されるなど話題には事欠くことがありません。
人気商品紹介
コブラヴァンプローファー
フローシャイムのアイコンとも言える代表的なコブラヴァンプ。すでにお伝えしたように正式名は『Yuma(ユーマ)』です。アッパー部分のモカ縫いされた部分が蛇のコブラの頭に似ていることからニックネームがついたようです。他のメーカーからも販売されていますが、やはりココという根強いファンが絶えません。
ケンムールウイングチップオックスフォード (並行輸入品)
こちらもコブラヴァンプと並んでフローシャイムの名品と言われる『ケンムール』。現行商品です。履き込むほどに味わいが増し、深い光沢を楽しむことが出来ます。同商品の1960年代の製造モデルの写真を前の項に掲載しています。エイジングが楽しみです。
コルベッタ キャップトゥ(並行輸入品)
Florsheim Men's Corbetta Cap Toe Oxford Black Smooth 13 D US D (M)
美しいストレートチップです。ソールの一部をラバー仕様にすることでアクティブなビジネスマンに向いた商品と言えそうです。際立った印象はありませんが、これがあればマジメな足元が出来上がります。色も黒を選んで正解ですね。
ブルックフィールドスリッポン(並行輸入品)
金属のビットを施した『ビットローファ』が多い中で、金属を部分使いし、しかも本体と同色を採用することで落ちついたデザインに落とし込みました。アッパー部分のモカ縫いは見事の一言につきます。実際に履いて上から眺めると、そのバランスの良さに納得します。
ブックタウンプレーントゥ(並行輸入品)
夏向き、シェアサッカーやコットンのスーツにお似合いな軽い印象の一足です。また緩めのリネンパンツをターンオーバーして、素足に。ビーチリゾートでも活躍しそうです。
ビンテージならでは、また現行品ならではの良さがある。
http://daiseike.seesaa.net/article/133693798.html
デニムやミリタリーウェアのビンテージは相変わらず人気が高いですね。同じようにビンテージシューズの人気も高まっています。その中でもフローシャイムの人気は高く、コブラヴァンプに限らず1960年前後もしくはぞれ以前のものが見つかったら迷わず購入するよう奨めるサイトがあるほどです。同社商品のクオリティの高さを物語るコメントだと思っています。
現行品にも、培った技術や受け継いだDNAが反映されているはずです。ビンテージ品も眺めつつ、現行品の改良点も納得しながら楽しむとしましょう。