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シェットランドフォックスの革靴。履き心地、質感とも『極み』の域。

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ヨーロッパ目線のアメリカと言うべきか、フランス目線のイギリスと言うべきか。またはクラッシックとモダンが同居すると言うべきか。

さまざまな顔を持ち、時々に合った表情を見せてくれるシェットランドフォックスは日本人だからこそ作りだせた逸品ではないでしょうか。その完成度は商品というよりも『工芸品』に近い。

日本靴の名門リーガルが手がけるシェットランドフォックスの魅力に注目しました。

シェットランドフォックス 日本製品の誇り、ここに極まる。

シェットランドフォックスのコンセプトは「靴の美しさ・楽しさとともにアイロニカルなダンディズムを提案します」。オフィシャルサイトにはそのように記述されています。日本人ならではの丁寧な作りこみと、厳しい生産管理を通過した製品だけがお客様に提案されます。

しかもごく少量です。取り扱う店舗も限られ、手に取ったり試着できるのはある意味で幸運なのだそうです。情報量が少ないことも重なり、存在の有無さえ確かではありません(とは言いすぎですが)。欧米の商品と同様、いや以上のクオリティながら日本国内での評価は低いのではないかと心配にさえなります。

こうした日本メイドの逸品は、審美眼を備えた欧米人にとってとてもユニーク(独創性)な存在として高く評価されそうです。

日本らしさ、シェットランドフォックスの磁力に惹きつけられる。

ここ数年、海外での評価が高まっている日本刀さらに盆栽。すでに漫画やアニメだけではありません。

シェットランドフォックスも海外流出の危険があります(とは言いすぎですが)。海外で評価されるのは名誉なことなのですが、先ずは私たち日本人がよく理解をし、出来れば愛用してからという思いが強くなりました。

シェットランドフォックス 復活の歴史を検証する。

シェットランドフォックスは1980年前半(82年?)から1990年代半ば(確認できず)の10年間程度リーガルコーポレーション(旧日本製靴)が製造・販売していました。それまでの既製靴にはないクオリティの高さと、英国靴を思わせる美しいデザインが一部で話題になります。

当時のリーガルは「リーガルシューズ オリジナル」を基軸としながら、時代に応じたコレクションをリリースしていました。これらコレクションの底辺には、リーガルらしいアメリカの匂いがありました。

寡黙なブランド シェットランドフォックスの舳先はイギリスに向かった。

そのような流れを踏まえながら、リーガルが次の寄港地として選んだのはイギリスでした。そもそもファッションや文化としてのアメリカントラッドの源流はイギリスですから、いわば当然のこと。本能に応じた遡上だと言えるかも知れません。

その後、リーガルはクロケット&ジョーンズのインポーターを担うことことから、さまざまな英国靴を研究していたのでしょう。そのオマージュとしてシェットランドフォックスは誕生したと言えそうです。さらにリーガルブランドを一切名乗らないマーチャンダイジングが靴好きたちを唸らせました。

1990年はじめ、ブランド休眠という選択肢は必然だったと思う。

販売店もリーガルショップではなく、テイジンメンズショップの限られた店舗での展開でした。従来のリーガルブランドとは一線を画した存在だったのです。価格も当時の国産靴としては高価であったこともあり、入手するには相当の覚悟が必要だったと想像できます。

90年代前半からDCブランドが注目され始めると、シャットランドフォックスの持つ重厚なテイストは時代と乖離し始めます。ファッションはいっそうカジュアル化が進み、またバブルの足音に翻弄され始めるころ、シャットランドフォクスはブランドの休眠という道を選びました。

長い眠りから覚めた。さて、ブランドの向かう先は見えたのか。

復活の糸口は何だったのでしょうか。オフィシャルサイトのコメントを借りれば『2009年春に、成熟してきた日本の靴市場において、「ブランドに惑わされない、日本人のための日本製の靴ブランド」として再デビューを果たしました。』。当時を知るものには待望の、知らないものには新鮮さと驚愕の再デビューでした。

以来10年、以前のコンセプトを踏襲しながらブランドを守ってきました。その堅実な姿勢、作り手が見える靴作りがファンを増殖させています。その多くは既に英国靴やアメリカ靴など、本格靴を経験した人たちなんだとか。

それらの良さを知っているからこその評価、それらと比類できるという日本人としてのアイデンティティが支えになっているようです。

 

見えないところに隠された日本人らしい工夫 ベクトルと曲線というデザインコンセプト

製造方法における特徴などはオフィシャルサイトや他コラムに詳しく書かれているのでそちらに譲るとして、それらから見えてくるシェットランドフォックスならではの特徴は『ベクトルと曲線』だと思っています。靴作りでもっとも基本となるのは木型(ラスト)です。

木型を見つめなおす。ラストがすべてを物語る。

そのラストの形がとてもユニークなのです。正面から見ると分かるのですが、これまでの中心とされていた線から内側に寄っています。より人間の骨格に沿ったというか、人が歩くときの力や重力がどのように負荷されるのかという観点が生かされたラストなのです。

つまり人間の力点や向き=ベクトルを大切にしたラストだと言えないでしょうか。捉え方はオールデンのそれと似ているように感じます。そのため、履き心地はもちろん歩きやすさも秀逸だと評価が高いそうです。

もうひとつの特徴は『曲線』。体の線はすべて曲線です。その曲線に沿ったのもで無ければ靴に限らず快適ではありません。

直線的な靴など存在しませんが、シェットランドフォックスは『曲線』を意識した構造と工夫を取り入れることで、高いデザイン性と快適さを同時に提供することが出来るようになりました。

機能を追及することで、美しく進化した。

中でも『踵骨設計』足の丸み(踵骨)に合わせた踵の設計を採用することでかかと部分の座りが向上します。かかとがフィット、つまり付いてくることで歩きやすくなり、靴擦れも防げます。

中底にもビスポークばりの創意工夫が施されています。中底にお椀状の丸いくぼみを作りこむことで、足の収まりを良くしています。他パーツの取り付けに高い技術力が必要になるので、世界的に稀な加工なのだそうです。

そしてユーザーの多くが推す製法が【ロングカウンター】です。土踏まずに接する部分に従来よりも長いカウンターを塔載することで足の納まりが格段に良くなり、疲れ知らず靴となります。ロングカウンターを塔載することで、甲革は手作業での釣り込みが必要となり、手作業ならではの美しさが生まれます。

製法に見合うプレミアムレザーを国内外から採用するだけでなく、原材料の選定にも目を光らせています。さまざまな工夫や思いが重なっていながら、それが過度ではない。『極み』の域に達した証しかも知れません

 

シェットランドフォックスの定番アイテム5選

シェットランドフォックスはシリーズ名にイギリス国内の地名をつけ提案しています。代表的なドレスラインだけでなくカジュアルラインも手がけ始めました。国産靴では高価格帯ですが、クオリティと比較すればコストパフォーマンスの高さに驚きます。

アイテム①:ケンジントンII ストレートチップ

http://www.shoes-street.jp/shop/g/g011FSF_____B_____55

代表するシリーズ『ケンジントン』からは、真面目なストレートチップ。美しくそりあがったつま先、絞り込まれたウェスト。上品な色気をまとった姿に思わず触れたくなります。

アイテム②:ケンジントンII ウイングチップ

http://www.shoes-street.jp/shop/g/g012FSF_____B_____55#

ケンジントンシリーズから、カントリーテイスト香るウイングチップの紹介です。と言ってもトゥ部分はそれほど丸くなく、メダリオンも施されていないため上品さが残ります。ツイードやコーデュロイとの相性が良さそうです。

アイテム③:アバディーン ブリティッシュスタイルのプレーントゥ

http://www.shoes-street.jp/shop/g/g3054SF_____B_____50#

プレーントゥというエレガントなモデルですが、スリーホールを採用、アッパー部分を長く見せることでシャープな印象、躍動感を与えてくれます。ミッドカットのブーツ代わりにも使えそうなハンサムフェイスです。

アイテム④:ハンプトン ウイングチップ

http://www.shoes-street.jp/shop/g/g051FSF_____B_____55

タフなシーンにも対応できるようにラギッドなリッジウェイソール採用したドレスカジュアルモデルです。イギリス同様に雨のシーズンの多い日本でも活躍してくれそうです。デニムでもチノクロスでも。同シリーズのブーツも用意されています。

アイテム⑤:グッドウッド レースアップ

http://www.shoes-street.jp/shop/g/g053FSF_____WHIT__55#

カジュアルラインからはスニーカーを紹介します。休日ファッションでリラックスしたい時、また海外出張に連れ出すと重宝しそうです。履きじわも楽しめる大人のアイテムです。

 

シェットランドフォックスという日本靴 日本人にとっての誉れ

英国靴に劣らないとか、イタリア靴の色気を備えているとか、他と比較する表現はシャットランドフォックスに似合いません。先に紹介した日本刀は日本刀でしかなく、盆栽は盆栽だというのと同意義、比べようがない日本靴だからです。

確かにオールデンのフィット感は捨てがたいし、ジョン・ロブの革の厚さ、そして適度な重量は例えようがありません。そうした一級品を経験したユーザーであればこそ、シェットランドフォックスを評価できるのではないでしょうか。

既成品だけでなくパターンオーダーも積極的に提案しています。先ずはショップスタッフがタイムリーな情報を伝えるBlogをブックマークしましょうか。

シャットランドフォックスショップブログ
http://www.shetlandfox.jp/blog/