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再評価著しい「ジョセフ・チー二ー」。伝統を重んじることで見えてきた道。

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ジョセフ・チーニーは英国靴の老舗ブランド「チャーチ」のセカンドラインというポジションでありながら、確かな作りと良心的な価格が多くの支持を得ていました。しかし本家「チャーチ」の経営的な選択に翻弄されます。新たな船出に向けて経営陣たちが出した答えは、伝統を重んじる事でした。日本でも有名セレクトショップから別注を受けるなど、評価が高まっています。

Long and Winding Road 130年の歴史は順風だけではなかった。

http://www.fashionbeans.com/2014/joseph-cheaney-sons-shoes-summer-2014/

英国靴の聖地ノーザンプトンの靴メーカーで工場長をしていたチーニーの創業者ジョセフ・チーニーがJ.Cheaney, Boot & Shoemakersとして独立し、小さな工場を構えます。1886年の事でした。
1903年ジョセフの息子のハロルド・チーニーが入社すると社名をJ.Cheaney & Sonsに変更します。これは現在まで受け継がれ、企業名と企業ロゴも反映されています。その後も経営は一族により継承され、長きに渡り社業を支えました。

http://danielhagon.com/cheaney/

1966年には、英国で最も栄誉ある賞の一つであるQueen’s Awardを受賞するまでに評価されますが、経営的な問題を抱えチャーチ社に買収されてしまいます。しかし2000年にチャーチ自体がイタリアファッションの老舗プラダに買収されたため、チーニーも一時はプラダの傘下に入ることになりました。

2009年にチャーチ一族であるジョナサン・チャーチとウィリアム・チャーチがチーニーのみをプラダから買い戻して独立させ、経営をスタートさせます。チャーチ一族が自身のチャーチブランドではなくチーニーブランドのみを買い戻したことは大きな話題になりました。

新生チー二―は時流を意識するだけでなく、これまで自分たちが培ってきたものを見つめ直すことに注力しました。それは先人たちが削りだしてきた木型を研究することでした。そうした積み重ねが、新しいコレクションに反映されるだけでなく、その新鮮な印象に注目が集まり始めます。

https://www.northamptonshoes.com/joseph-cheaney/

その中には、いい意味で洗練されていない作りこみ、タフなソールなどのコレクションがあり、日本のセレクトショップの別注を受けることにつながっていきます。伝統を重んじることで様々なしがらみから解放され、新たな歴史がスタートしました。

別注品に注目 日本の審美眼が世界を揺るがす。

https://gqjapan.jp/fashion/news/20150330/joseph-cheaney-the-british-made-shoes

ドイツ発コンフォートシューズ『トリッペン』ではマーケティング戦略として日本向けに商品を開発し、その動向次第で他国向け商品としての採用に踏み切る目安にするのだとか。観点は違いますふが、ここ数年日本のセレクトショップがチー二ー社への別注頻度が高いように感じます。その理由を探ってみました。

ユナイテッドアローズ ださカッコよさが新鮮。

https://gqjapan.jp/fashion/news/20150330/joseph-cheaney-the-british-made-shoes

それまでほとんどチャーチと言った印象で、やはりセカンドラインという位置づけだったチー二―だったそうです。しかし2014年のコレクションに触れる機会があり、当時のユナイテッドアローズのコンセプトと符合するものを感じたのだとか。無骨で不器用な英国の一面を感じたのだそうです。

若い子が『やばい』というい言葉を肯定的に使うのと同様で『ダサい』という表現がぴったり、一目惚れだったとコメントしています。そんなときに「CAIRNGORM Ⅱ R」と出合います。「CAIRNGORM Ⅱ R」に使用されているラストは英国軍にも供給していた現行品番で最も古いものです。

こうした出会いから、別注品が加速していきます。現在ではUA本体だけでなくグリーンレーベルなどの系列ブランドでも取り扱うようにないっています。

COMOLI シーンを選ばず、オールマイティに履ける。

http://www.citylights-spiral.jp/product/1545

スタンダードな服をモード的に解釈するとこうなるという印象のCOMOLI。デザイナー小森 啓二郎が率いる、洋服好きに圧倒的な支持を得ている日本ブランドです。シルエットはモード寄りなのですが素材使やモチーフがオーセンティックという事もあるのか、コレクションで使われる靴はいたってクラシックなものが多いのです。

デザイナー自身が旅のなかでインスパイアされた事象をコレクションに生かすそうですが、靴選びも自身での経験を優先させることもあるそうです。2016年コレクションで別注したチー二―も実際に履いてみて、しかも現地や旅先で履いてみて納得の上で採用に至ったのだとか。

デザイナー自身が革靴コンプレックスがあって、自分でも履けるもちろん自分のコレクションとも相性がいい靴を作りたいちう事で生まれたのがサイドゴアブーツだったそうです。これをラベンハムに別注したコートとコーデュロイパンツ、オールブラックで合わせます。クールですが暖かさも感じる提案です。

ナノ・ユニバース 別注ならではのスペシャル感。

https://ameblo.jp/togablo/entry-12360247908.html

ナノ・ユニバースの提案は上記2ブランドとは方向が違うようです。イギリス靴の無骨さ、男くささというよりも、どちらかと言えばイタリア寄り。陽気な一面がうかがえます。

特にメンズクラブの名物編集長であった戸賀氏が手掛ける別注品のは純白のローファ、しかもヒールカップが小さめに出来ている事もあって上品ささえ備えています。英国ならではのジェントルマンスピリッツと言ったテイストなのかも知れません。

こうした遊びココロは別注品だからこそのスペシャル感です。三者三様の要望に対して、見事な切り返して応えてくれています。

http://cheaney.jp/130th-anniversary-045/

ほかにもビームスやバーニーズニューヨークの別注品もあります。それぞれ自社のテイスト、店舗のコンセプトに沿ったリクエストを出し、チー二ー側も鮮やかに応えています。本来のコレクションはもちろん注目ですが、こうした『ならでは』の商品から目が離せません。

 

定番アイテム紹介

ストレートチップ アルフレッド

装いの基本となるべきストレートチップ、しかも黒、そして英国メイド。いう事ありません。まずはこれを手に入れなければ何も始まりません。

セミブローグ ウィルフレッド

黒のメダリオンですが、思いのほか重い印象はありません。かと言って軽々しい印象はもちろん皆無。適度な緊張感があるのでビジネスシーンでも活躍しそうです。

クオーターブローグロジャー

メダリオンの絶妙なレイアウトが美しい逸品です。ブランドの原点回帰とも言えるテイスト、陰影のあるボックスカーフが艶めかしく光ります。

コインローファー ハドソン

今風のデザイン、甲部分が長くあしらわれています。そのためドレッシーな印象すら感じます。どんなパンツとも相性がよさそう。もちろんデニムでも。

プレーントゥ シューズ ブラック ケンゴン シボ革

ワーク、ミリタリー、カントリー。様々な表情を見せてくれるとても気になる一足です。しかもシボ革使いというひねくれ具合いも見事です。履きならしが必要でしょう。しかしその分愛着が増すはずです。

全ての男にチー二ーが必要です。人生の荒波を乗り越えるマストギアとして。

https://www.instagram.com/p/Bf0xLfjFONF/?hl=ja&taken-by=josephcheaney

冒頭でも述べましたがジョセフ・チー二ーには長い歴史があります。確かな技術があります。誇り高い職人が多数います。そしてジェントルマンスピリッツを忘れない経営陣がそれらを牽引しています。

https://www.instagram.com/p/BiMNKpIlChU/?hl=ja&taken-by=josephcheaney

日本からの別注品は相当面倒な要望があり、修正を重ねて出来上がったものだと思います。しかし、それに応え要請以上の答えを彼らは用意できるのです。それを可能にしたのは熟練と伝統へのオマージュであったろうと思っています。

昨今、パンツのシルエットはプリーツ入りが目立ってきました。華奢な靴ではバランスが思わしくありません。さらにビッグシルエットです。足元にもボリュームが欲しい気分です。コバが張り出し、コマンドソールで武装した一足が必要になってきました。早めに準備しないと遅れをとりますよ。


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