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ドメスティック靴の老舗「ユニオンインペリアル」ならではの安定感
創業当時からイタリア靴のデザイン性と確かな製法に注目してきたユニオンロイヤルが、最高峰(=インペリアル)という称号を与えた『ユニオンインペリアル』。
2008年にローンチされると、その完成度の高さから靴好きまたイタリア好きに大きな衝撃を与えました。ブランドとしては10年足らずですが、半世紀以上続く企業、そして靴職人たちが送りだしたユニオンインペリアルの魅力を読み解きます。
http://www.union-royal.jp/item/unionimperial/
目次
確かな技術 根底にはイタリア靴の名門『マレリー』との提携があった。
http://www.union-royal.jp/item/marelli/
靴好きであれば、マレリーというブランドをご存知の方も多いことでしょう。現在ではイギリスやアメリカなど諸外国からさまざまなブランドが輸入されるようになりましたが、30年ほど前まで百貨店の靴売り場や専門店の多くで『大人の靴』『高価な靴』の代表として奥の一角で威光を放っていました。
旧ユニオン社(現世界長ユニオン)は、イタリアの靴製法を学ぶためこのブランドと業務提携を結びます。マレリーはモカ縫いを得意とし柔らかい素材を持ちいる事で、柔軟な反りあがりと歩きやすさを備えていました。そして基本的な構造はマッケイ製法を用いていました。
本場の職人が縫い上げる優美な曲線に、旧ユニオン社の職人たちは見入ったことでしょう。そして自らもマレリー商品を仕上げることで技能を身につけていったのです。
http://www.union-royal.jp/story/
アメリカ文化が豊かさの象徴として、憧れだった時代でした。一方、質実剛健や合理的なアメリカとは違う、歴史があり、文化がある、ヨーロッパ的な風潮を支持する層はもっと伸びやかな製品や服飾品を求めるようになります。
マッケイ、しかも多くの工程で手縫いで仕上げる製法が彼らに注目されるように、なりさらなる進化を期待する声が届くようになったのです。それはイタリアの国際芸術皮革製品コンテストで1972年から3年連続でオスカー賞を受賞するという功績につながります。
このときに出展したプロトタイプはユニオンインペリアルと命名され、その後35年してブランドを再構築し2008年、新生ユニオンインペリアルとして時代にドロップインするのです。
マッケイ製法の導入 進むべき道、信じる道を歩んできた。
http://www.union-royal.jp/story/
ユニオンインペリアルの歴史を振り返ることは、それはユニオン社のそれをたどることと同義語です。さらに言えば前項で書いたように、マレリーはじめヨーロッパブランドとの提携とそれにより得ることになるマッケイ製法の歴史でもあります。かの戦禍がまだ癒えない1952年ユニオン製靴は誕生しました。
早くからヨーロッパ、特にイタリア製の靴、その製法に注目し日本初のイタリアンマッケイを導入したのは6年後の1958年、そして事業の礎となるマレリーとの連携は1960年、半世紀をすぎた現在もその関係は継続しています。
日本経済の成長を牽引するかのように企業は躍進し、クリスチャンディオールやシャルルジョルダンなどとも技術提携を成功させヨーロッパファッションの伝導としての役割さえ担うようになっていきます。
http://www.union-royal.jp/craftman_ship/
http://www.union-royal.jp/craftman_ship/
他社との提携だけでなく自社オリジナル商品を望む声があったのか、または社内からあがったのかは分かりませんが1972年にユニオンインペリアルの名を冠した商品がイタリアの国際芸術皮革製品コンテストでオスカー賞を受賞すると、それは3年連続となります。これはユニオンインぺりアルがプロトタイプながら衆目された記念碑と言えます。
http://www.union-royal.jp/craftman_ship/
その後他社名義のオリジナル商品の製造に参加するなど、じっくりと技術を熟成させ2008年、35年の眠りから覚めるようにブランドは新たな呼吸を始めます。確かな製法だけでなく、また素材使いだけでなく、さらに巧みなブランド戦略を提案することで多くの靴好き、イタリア好きに溺愛される存在となっています。
自慢の商品だから、多くの方に使ってほしい。そのためには求めやすさも大切だ。
http://www.union-royal.jp/item/unionimperial/
マッケイ製法、さらにボローニャとのハイブリッド製法、素材はアノネイ社、木型云々などは正当な靴作りを生業とするものであればぬかり無い選択であろうと思います。これらに関する情報はオフィシャルサイトにも詳しく掲載されています。ここではユニオンインペリアルの整然としたブランド戦略と、分かりやすい商品区分を紹介します。
プレミアム
http://www.union-royal.jp/item/unionimperial/premium/
熟練の技術と時間と手間のかかるハンドソーン・ウェルテッド製法を採用したプレミアムシリーズです。素材はフランス製アノネイ社の上質なカーフを使用。機械で縫い上げるグッドイアー製法の原型と言われていて、包むような履き心地がリピーターを増やし続けています。デザインはあくまでオーセンティック。すべて日本で作られています。詳しくはこちらから
http://www.union-royal.com/SHOP/453513/453517/list.html
プレステージ
http://www.union-royal.jp/item/unionimperial/prestige/
こちらもハンドソーン・ウェルテッド製法を採用していますが、「レベルソ仕立て」とよばれる折り返してステッチの見えないデザインを採用することで、プレミアムシリーズよりもシャープな印象のデザインに仕上がっています。素材は最近エルメス傘下になったことで品質がさらに向上したフランスの『デュプイ』製を使っている商品が多いようです。色気あるソールデザインも楽しいプレステージの詳細はこちらから
http://www.union-royal.com/SHOP/453513/453523/list.html
グッドイヤーウェルテッド
http://www.union-royal.jp/item/unionimperial/goodyear/
機械縫いで仕上げる製法ですが、質実剛健、丈夫な作りが身上です。しかしユニオンインペリアルの下ではエレガントな印象のデザインに仕上がっています。厚く敷き詰めたコルクが時間とともに沈み、自分だけの形に落ち着きます。離せない一足になります。素材はプレステージ同様、『デュプイ』または『アノネイ』を採用。
http://www.union-royal.com/SHOP/453513/1047006/list.html
もうひとつの特徴は、コストパフォーマンスの高さでしょう。この作りこみで、あの素材を使って、この価格。一度体験すると、他ブランドには戻れないかも知れませんよ。詳しくは次項の商品紹介でお確かめください。
商品紹介
UNION IMPERIAL ホールカット U1540 B
プレミアムシリーズから。素材を贅沢に使ったホールカットです。きっちり紐を結び、隙間の無い装いで出かける楽しみがあります。一足はそろえておきたいデザインです。
UNION IMPERIAL ストレートチップ 01U1708 B
こちらはプレステージシリーズから。汎用性の高いストレートチップはビジネスマンにとって必携の一足です。デザインはオーソドックスですがソールに刻んだ意匠ががなんとも艶っぽい。
UNION IMPERIAL 外羽根クオーターブローグ U1541 R
こちらもプレミアムから。メダリオンを打ち込んだデザインはONよりOFFのイメージがありますが、シェイプを細くしたおかげで遊びを感じさせてくれます。ヒール部分の巻き込みといい、いちいち悩ましい一足です。
UNION IMPERIAL ロングノーズレース内羽根ステッチスワールモカ/メダリオン【ボルドーブラウン】
イタリアに傾倒したデザインが特徴です。メダリオンのレイアウトが心憎いまでの個性を放っています。靴を主体にコーディネートを考える。そんな楽しさが味わえる一足かも知れません。
UNION IMPERIAL ロングノーズサイドエラスティックスリッポン/ストレートチップ【ブラック】
脱ぎ履きが簡単でありながら、きちんと感もあるサイドエラスティックは日本の生活様式にも都合のいい一足です。しかもロングノーズなのでエレガントなにおいも忘れていません。ローファ代わりに履きこなすまで修行が必要です。
日本人はイタリア好き?相性の良さをユニオンインペリアルで体感してほしい。
http://www.union-royal.jp/item/unionimperial/
世界でもっともイタリア人らしいのは日本人ではないかと思うことがあります。かつてイタリアンカジュアル(通称イタカジ)があって、そのままバブル期になるとアルマーニ、ベルサーチと続きます。落ち着くころにはイタリアンクラシコが登場し、イギリスやフランスのエッセンスを拾いながら現在まで。イタリアと日本人、そうとう付き合いが長いのです。
そうしたファッションの足元を守ってきたのがユニオンインペリアルにに代表されるイナセな靴たちだったようです。時代や世界を経験して、日本人が捉えるファッションを提案するとき、ユニオンインペリアルはドメスティックの雄として更なる夢を見せてくれると信じています。