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AGA治療薬の効果と副作用とは?種類別の効果を徹底解説!【医師監修】

成人男性に多く見られるAGA(男性型脱毛症)。薄毛に悩む方のほとんどはAGAだと言われ、放っておくと少しずつ症状が進行してしまう病気です。
そんな症状に効果的なのがAGA治療薬で、使用を検討している方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、AGA治療薬の種類別の効果や副作用、選び方まで徹底解説していきます。
目次
こちらの記事を監修した専門家
【監修して頂いたAGA治療の専門家】
スーパースカルプ吉祥寺
センター長 馬鳥 亮佑先生
【資格】
・毛髪診断士
・発毛技能士
・食品衛生管理者
一般社団法人スーパースカルプ発毛協会所属
AGA治療薬とは?どんな種類がある?
薄毛に悩んでいる方の中には、AGA治療薬とはどのような薬なのか、実際に効果はあるのか気になっているという方もいるのではないでしょうか?
AGA治療薬は症状の改善に高い効果を発揮すると言われており、有効な治療法として多くのクリニックで採用されています。まずは、AGA治療薬とはどのようなものなのか、基礎知識をチェックしていきましょう。
AGA治療薬とは
AGAは進行性の薄毛で、その原因としてはホルモンによって抜け毛が増加すること、加齢や生活習慣の乱れによって、毛が生えたり成長する力が衰えることの2つが主に挙げられます。
このような症状に対する薬がAGA治療薬で、脱毛を防ぐタイプと発毛を促すタイプの大きく2つに分けられます。効果は一般的に服用してから6カ月ほどで実感し始めることが多く、1年ほどすると周りから見てもわかるほどになると言われています。
使用してすぐに効果が現れるわけではありませんが、継続して使うことで症状を改善し、目で見てもわかるほどに増毛や発毛を実感することができます。
脱毛を防ぐタイプの薬
抜け毛は、DHT(ジヒドロテストステロン)というホルモンが原因で増加するといわれています。脱毛を防ぐタイプは、このDHTホルモンが作られるのを抑制することで抜け毛を防ぎ、薄毛がそれ以上悪化するのを抑えることができます。
発毛を促すタイプの薬
髪の毛を生やし、成長させる働きがあり、地肌が見えるなど症状が進行した方に有効な薬です。毛を生やすために必要な細胞の働きを高めたり、頭皮の血流を良くすることによって発毛を促進することができます。
塗り薬と飲み薬がある
AGA治療薬には、塗り薬と飲み薬の2種類があります。塗り薬はその名の通り頭皮に塗布するもので、副作用が出にくく、手に入りやすいのが利点です。
一方の飲み薬は、体の中に有効成分を入れることで原因に直接アプローチしやすく、値段が塗り薬よりもリーズナブルなことが利点です。
飲み薬は塗り薬に比べて薬の作用が強く効き目も強いことも利点と言えますが、その分副作用が出やすいという欠点もあります。
脱毛を防ぐAGA治療薬「プロペシア」の効果と副作用
プロペシアはフィナステリドを主な成分とし、抜け毛を防ぐ作用があります。2005年に認可され、日本で初めての誕生したAGA治療薬です。
販売元はMSD株式会社で、研究結果では飲んだ方の約8割に目に見える効果があったとされており、最もポピュラーな内服薬として多くのクリニックで採用されています。
「プロペシア」の効果
抜け毛の原因は「DHT(ジヒドロテストステロン)」というホルモンで、これはテストステロンという男性ホルモンと体内酵素(5-αリダクターゼ)から作られます。
プロペシアは5-αリダクターゼの働きを抑えることで男性ホルモンがDHTに変化するのを阻害し、抜け毛を防止することができます。さまざまな薄毛に対応できるとされていますが、効き目が十分に出るまでにはある程度の時間がかかるため、数カ月程度内服を続ける必要があります。
「プロペシア」の副作用
他に比べると副作用が起こりにくく、安心して使うことができると言われていますが、全く出ないわけではありません。DHTを抑制することで体内で作られる男性ホルモンの量が減少するため、男性機能に影響が出る可能性があります。
また肝臓で代謝されるため、肝機能に影響する可能性もあります。しかし、販売元が公表している市販後の調査によれば、副作用が起こる確率は0.5%と低くなっており、抜け毛を防いで薄毛の悪化を抑える利点の方が大きいと言えます。
妊娠中の女性の体内に入った場合には、男の胎児の生殖器に悪影響を及ぼす恐れがあるため、妊娠の可能性がある女性が身近にいる男性は注意が必要です。
「プロペシア」にはジェネリックも
プロペシアにはジェネリックも製造・販売されています。ジェネリックとは、新薬の特許期間満了後に厚生労働省の承認を得て販売される薬です。
新薬と同等の効果や品質・安全性がありますが、開発費が大幅に削減できることから低価格で手に入るのが利点です。添加物や製造法は違うものの効能は変わらず、値段は2割程度安く手に入れることができます。
脱毛を防ぐAGA治療薬「ザガーロ」の効果と副作用
ザガーロも抜け毛を防止するための内服薬で、主に含まれる成分はデュタステリドです。販売元はグラクソ・スミスクライン株式会社(GSK社)で、2015年に認可された新しい薬です。
「ザガーロ」の効果
プロペシアと同様、5αリダクターゼという酵素に働きかけ、男性ホルモンから抜け毛の原因となるDHTが生成されるのを抑えることで、それ以上抜け毛が増加し悪化するのを抑制します。
酵素の5αリダクターゼには1型と2型があり、プロペシアは2型のみを阻害しますが、ザガーロは1型と2型の両方を阻害することが可能なため、より抜け毛を抑える効果が高いと言えます。
「ザガーロ」の副作用
先にご紹介したように、5αリダクターゼ酵素の1型と2型の両方を阻害できるため、さまざまな薄毛に対応できますが、副作用が出る確率が17.1%とプロペシアに比べて高いと言われています。
GSK社によると、男性生殖系・乳房障害、精神障害、胃腸障害などの副作用が起こる可能性があるとされています。また肝臓で代謝されるため、肝機能障害がある場合は薬の血中濃度が上昇する危険性があります。肝機能に異常がある方は、服用を避けたほうが良いでしょう。
脱毛を防ぐAGA治療薬「アボルブ」の効果と副作用
ザガーロと同様、ディタステリドを主な成分とする抜け毛を防止する薬です。もとは前立腺肥大症の治療薬として開発されたものですが、ザガーロが発売される前はAGAの治療薬として採用されていました。
「アボルブ」の効果
ザガーロと同じく、5αリダクターゼという酵素の1型と2型を阻害することでDHTの生成を抑え、抜け毛を防いで症状の進行を抑制します。
ディタステリドのほか、含まれている添加物もほとんどザガーロと同様で、ほぼ同じ薬としている専門家も多いのですが、値段は1割ほど安く手に入れることができます。
「アボルブ」の副作用
起こりうる副作用としては、性機能障害、肝機能障害、倦怠感、食欲不振などが挙げられます。男性ホルモンに作用するため、発生する確率は低いものの、男性機能に影響が出る可能性があります。
肝臓で代謝され腎臓から排出されるため、肝機能や腎機能に障害が出ることもあります。また、初期脱毛というものが1カ月程度続くことがあります。
これは薬が作用することで、新しい毛が生えるためにもともと生えていた悪い状態の毛が抜ける状態で、しっかり効き目が出ている証拠なので心配はありません。
発毛を促すAGA治療薬「ミノタブ」の効果と副作用
ミノキシジルという成分を含む内服薬で、発毛を促進する効果があります。ミノキシジルを含む薬には内服薬と外用薬がありますが、内服薬の方が体内への吸収率が高いため、より有効性が高いといわれています。
ミノキシジルには血管を拡張させ血圧を下げる作用があるため、もともとは高血圧の薬として開発された薬です。高血圧の薬として使ううちに多毛症の副作用が現れたことから発毛促進に有効であることが分かり、今では薄毛の治療薬として採用されています。
「ミノタブ」の効果
毛乳頭細胞を刺激して成長因子を分泌させ、発毛に必要な毛母細胞の増殖を促すことで、髪の毛が生えやすいようにサポートします。また頭皮の血管を拡張させて血流を改善することで、毛細血管から毛乳頭まで栄養を行き渡らせて発毛を促進します。
髪の毛を増やすのに有効的な薬ですが、もとは降圧薬として開発されているため、海外でも日本でもAGAの治療薬としての認可はされていません。ただし、医師の判断で治療のために処方することは可能です。
「ミノタブ」の副作用
主に含まれている成分・ミノキシジルが原因で起こる可能性があるのは、頭皮のかゆみ・かぶれ、頭痛、動悸などです。内服薬は有効成分が直接血中に流れるため、外用薬に比べて副作用が出やすくなるという欠点があります。
そのほか血圧低下や手足のむくみ、めまい、胃腸障害、心筋障害などが現れることもあります。またアボルブ同様、丈夫な新しい毛に生え変わるための初期脱毛が起こることもあります。
発毛を促すAGA治療薬「ロゲイン」の効果と副作用
ミノキシジルを主な成分とする外用薬で、市販されている商品としては、発毛剤として有名な大正製薬の「リアップ」シリーズがあります。
また、市販薬にはアンファーの「スカルプD メディカルミノキ5」、ロート製薬の「リグロEX5」などもあります。飲み薬に比べるとやや効果は落ちるものの、副作用のリスクが低く、より安全に使えるのが利点です。
「ロゲイン」の効果
成分として含まれているミノキシジルには血管を拡張させる作用があります。薄毛が気になる部分に塗ることで、頭皮の下の血管が一時的に拡がり血流が改善します。
血流が良くなることで毛根へ酸素や栄養が行き渡り、毛包・毛母細胞の働きを高めることで発毛を促進します。またヘアサイクルを延長する作用もあるとされており、髪の毛自体の寿命が延びる効果があります。
「ロゲイン」の副作用
副作用として出やすいのは頭皮のかゆみで、血管を拡張させる作用により血流が良くなることが原因といわれています。そのほかには頭痛や手足の傷み・しびれなどもありますが、これらは過剰に使いすぎた場合に起こる症状で、適量を使っている分には大きな心配はありません。
使いすぎていないにもかかわらず、万が一異常が出た場合にはすぐに使用をやめ、医師に相談しましょう。またロゲインでも初期脱毛が起こる場合がありますが、1カ月程度で症状は治まりますので、抜け毛が増えたと思って使用をやめないようにしましょう。
発毛を促すAGA治療薬「アロビックス」の効果と副作用
アロビックスはカルプロニウム塩化物を含む塗り薬で、フロジン液という先発薬のジェネリック医薬品です。安い値段で手に入り、円形脱毛症や女性の抜け毛にも使うことができるのが利点です。
「アロビックス」の効果
塩化カルプロニウムには血管拡張作用があり、塗布することで頭皮の血管を拡げて血流を増加させます。これにより毛母細胞により多く栄養が届いて発毛を促進し、丈夫な髪の毛を生やす作用があります。
塩化カルプロニウムは浸透性が高く、長時間血管を拡張させる作用が持続します。そのため発毛効果が高く、使用した方の約56%に改善が見られたという結果があります。
市販されているカロヤンアポジカやカロヤンガッシュにも同じ成分が含まれていますが、配合率は1~2%です。対してアロビックスは医師による処方が必要で、塩化カルプロニウムは5%配合されています。
「アロビックス」の副作用
アロビックスは塗り薬のため、副作用のリスクは低くなっています。起こる可能性があるものとしては、頭皮の発疹やかぶれ・かゆみ、頭皮や全身の発汗などがあります。これらは万が一出ても軽症なものばかりなので、心配ありません。
AGA治療薬の選び方
ご紹介したように、AGA治療薬にはさまざまな種類があり、どのように選べば良いのか迷ってしまう方もいるでしょう。選ぶ際には自分に合ったものを見つけることが重要です。ここでは選び方のポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
悩みにあった治療薬を選ぶ
一言でAGAと言っても、人によって症状はさまざまです。薄毛が気になり始めてこれ以上進行させたくない方もいれば、地肌が見えるほど進行してしまっていて髪の毛を増やしたいという方もいるでしょう。
ここまでご紹介したきたように、AGA治療薬には脱毛を防止する作用があるものと発毛を促進する作用があるものがあります。進行を止めたい方は、脱毛を防止するものだけでも十分効果が期待できます。
一方、症状が進んでしまい発毛したい方は、脱毛を防止するものに加えて発毛を促進するものも使うことで、より効率良く悩みを解消できるでしょう。このように、AGAの治療薬を選ぶ際には自分の悩みにあったものを選ぶことが重要です。
健康状態や持病の有無などによって選ぶ
どのような薬にも副作用が起こる可能性がありますが、外用薬に比べると内服薬の方が出やすくなっています。AGA治療薬の場合、その症状は頭皮のかゆみや頭痛、男性機能や肝機能への影響、めまい、胃腸障害、心筋障害などさまざまです。
健康状態や持病の有無などによっては副作用が起こりやすかったり、薬の服用自体ができない場合があります。脱毛を防止するタイプの薬は基本的に飲み薬であり、肝臓で代謝されるため、肝臓の持病があったり肝機能が正常でない方は注意が必要です。
発毛を促進するタイプの中では、もともと高血圧の薬として開発されたミノタブは血圧や心機能に影響を及ぼす可能性があるので、血圧が低い方や心機能に異常がある方は避けたほうがよいでしょう。
リスクを下げながら薬の効果をしっかり得るためにも、自己判断で選ぶよりクリニックで診察を受け、医師に処方してもらうことをおすすめします。
自分の希望をふまえながら、健康状態や持病、治療中の病気や服用中の薬、アレルギーなどを考慮してもらい、適切な薬を処方してもらいましょう。
予算に合わせた治療薬を選ぶ
予算に合ったものを選ぶことも重要なポイントです。薬は使用してすぐに効果が得られるわけではなく、少なくとも6カ月程度の期間が必要なため、続けやすい価格の薬を選ぶことが大切です。
薬によって値段が異なり、自費診療のためクリニックによっても違ってきます。また、中にはジェネリック医薬品が製造・販売されている薬もあります。
先発薬よりも平均1割~4割程度安く手に入るので、薬代を抑えたい方はジェネリックを検討するのも手です。クリニックで診察・カウンセリングを受ける際に、悩みや症状と合わせて予算も相談すると良いでしょう。
AGA治療薬はどうやって手に入れる?
薄毛や抜け毛に悩み、AGA治療薬を試してみたいと考えている方もいるでしょう。そこで気になるのが、どうやって薬を手に入れるか、どこで買えるかということです。
クリニックで医師に処方してもらうイメージがありますが、クリニックで処方される以外にも手に入れる方法はあるのでしょうか?ここでは、AGA治療薬を手に入れる方法をチェックしておきましょう。
クリニックで処方してもらう
内服薬は基本的に市販はされておらず、医師の処方箋がないと手に入れることができません。これは先にご紹介したように、内服薬は特に副作用に注意する必要があり、健康状態や持病などもふまえて適切に服用しなければならないからです。
クリニックでは正しい薬の飲み方や、服用の際の注意点もしっかり説明してもらえます。またクリニックで診察した上で処方してもらえば、薬に関する不安な点を相談でき、万が一副作用が起きてしまった場合もすぐに対処してもらえるので安心です。
さらに自分の状態や治療の経過観察を医師に確認してもらえるため、自分に合った薬を選びやすく、より高い効果を得られると言えます。
ドラッグストアで購入する
ご紹介したように、内服薬を使うためには医師による処方が必要であり、ドラッグストアなどでは手に入れることができません。
ただし、頭皮に塗る外用薬は第一類医薬品としてドラッグストアなどで市販されており、手軽に手に入れることができます。ドラッグストアでは認可された信頼できる商品のみが販売されているので、安全に使用することができます。
さらにドラッグストアで購入した場合は医薬品副作用被害救済制度の対象となり、万が一副作用が出てしまっても、その治療にかかった費用のサポートがあるので安心です。
個人で輸入をする
実は、個人で海外から輸入することで手に入れることも可能です。個人で輸入すれば、クリニックでの診察代がかからないため安く手に入れることができます。
通院する手間が面倒だったり、ドラッグストアで購入することに恥ずかしさを感じて個人輸入を選択する方もいますが、大きなリスクがあるためあまりおすすめできません。
海外から輸入する場合、言語の違いもあって、本当に信頼できる輸入先なのかどうか、正規品なのかどうか判断が難しいことが多くあります。いざ届いたら粗悪品や偽物だったということもあります。
また個人で輸入して万が一異常が起こってしまった場合、医薬品副作用被害救済制度の対象にはならないため、治療費の給付は受けられません。
このように個人での輸入は偽物や副作用のリスクが大きいため、医師の診察を受けた上で処方してもらうようにしましょう。
自分に合ったAGA治療薬を見つけよう!
今回は、AGA治療薬の効果と副作用を種類別に解説しました。AGA治療薬には飲み薬と塗り薬があり、脱毛を防止するタイプと発毛を促進するタイプの2種類があります。
悩みに合わせた薬を選び正しく使うことでより高い効果を得ることができますが、副作用が起こる可能性もあります。
自分に合った治療薬を選びつつ副作用のリスクを下げるためにも、専門のクリニックに相談して医師の診断のもとで処方してもらうようにしましょう。
それぞれの特徴を理解しておくことで自分に合った薬を見つけることができますので、今回の記事を参考にぜひ最適なAGA治療薬を選びましょう。
なお、こちらの記事では医学の専門家より監修を頂いております。
こちらの記事を監修した医師
【監修して頂いた医師】
久保田なお先生
医師 美容皮膚科
【先生のメッセージ】
美容皮膚科に勤務しております。男女問わず脱毛・AGA業務に携わり、患者様と一緒にお悩みを解決してきました。医療を通して皆様の生活が楽しくなるようにサポートするのがモットーです。