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靴磨きと読書。ピカソが愛した「ベルルッティ」と過ごす上質な週末。

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ヴェネチアン・レザー、カリグラフィ、パティーヌ、スカー どれもベルルッティを語るうえではずすことのできないフレーズです。

その妖艶ともいうべきフォルムからイタリア靴ではないかという印象がありますが、実はフランス製。ですが主に使われている素材がイタリア製、唯一使う事を許されたヴェネチアン・レザーということや、創業したアレッサンドロ・ベルルッティがイタリア出身であったことから、ラテン系のニオイが残っているのかも知れません。

https://bbl-shop.com/?mode=grp&gid=928745&sort=n

下の写真は『カリグラフィ』と名づけられたベルルッティの代表的な意匠です。しなやかで上質なヴェネチアン・レザーに文字を刻むという、それまでの常識では考えらないデザインを施しました。まるでキャンバスに神々のメッセージを連ねたような軌跡。靴という製品ですが、芸術の域に達したと言われる意味が理解できます。

http://kutulin.blog.so-net.ne.jp/2015-04-20

フランス靴の至宝、ベルルッティは知れば知るほどに奥深さがあり、迷宮に飲み込まれていくようです。だからこそ探ってみたい衝動を押さえきれません。

 

ベルルッティの歴史 4代目当主オルガの功績

http://www.brand-reserve17.com/item-33

イタリア生まれのアレッサンドロ・ベルルッティが19世紀の終わり頃、パリで靴作りの仕事を始めたのがベルルッティ創設に繋がります。

1895年にベルルッティは創業します。当時は現在のような既製品はなく、注文靴=カスタムメイドのみ(オーダー専門のメーカー)でした。アレッサンドロの靴づくりはたちまち話題となり、セレブ層からも支持されるようになります。王室や芸術家などから使命され、顧客の中にはウインザー公やパブロ・ピカソなどが含まれていました。

そうした評判から、ヨーロッパを中心に多くの顧客を抱えることになります。そして様々な変化をもたらしたのは3代目のタンビニオでした。既成靴業界への参入やレディースコレクションの発表などを手掛け、現在の礎を築いていきます。

4代目当主 オルガ・ベルルッティ

http://www.asahi.com/fashion/topics/TKY201011190221.html

ベネチアン・レザーを素材に使うようことを許され、代表的なオックスフォードシューズに名前を残す創業者のアレッサンドロがベルルッティの基盤を築いたことは間違いありません。そして次世代が継承と改革を加えベルルッティを更なる高みに押し上げました。

そして4代目になるオルガがベルルッティに新たな歴史を刻みます。それは『パティーヌ』という技法です。何層にも色を塗り重ねることで生まれる深い色調、さらにそれを磨き削る事で下の層から想定外の色彩が浮き出してくる偶然。女性ならではの視点、計算外のバリエーションはベルルッティの新たなアイデンティティとして大きな話題となりました。

http://www.brand-reserve17.com/brand

オルガは言います。『靴を磨きなさい。そして自分を磨きなさい。』さらに磨いたあとは、月の光の下で眺めること。日の光ではせっかくの色が覚めてしまうからだとか。さらにオルガは肉を食べない菜食主義者。いちいち神秘的で、なんともストイック。呪文のようなフレーズがベルルッティトいうブランドを神の座に押し上げたのです。

 

著名人に愛され、芸術家に愛されたベルルッティ。

https://precious.jp/articles/-/3503

ベルルッティの靴は、とても芸術性に富んでいることから、多彩な芸術家によって評価を得ることになります。例えばジャン・コクトー、エディット・ピアフ、ランソワ・トリュフォー、アンディー・ウォーホル、イブ・サンローラン。誰もがアレッサンドロの作り出した作品に魅了されました。

http://boq.jp/serial/7331.html/

http://www.elle.co.jp/culture/feature/Andy_Warhol_basic_study170801

なかでもローファータイプのアンディは、オルガ自身がアンディ・ウォーホールのためにデザインしたものがモチーフにになっています。アンディを連れてきたのはサンローランだったとか。しかしアンディは気に入った靴が見つからず、ならば作りましょうという事になりオルガ自らデザインしたのだそうです。

ペニーローファーと言えばアメリア靴の代表的なデザインですが、フランスというエスプリを纏い、ベルルッティならではの色に染まることでモダンなにおいが登ってきます。アンディもいたく気に入ったのだとか。タキシードに501という彼のスタイルで、ときおり足元を飾っていたのはベルルッティだったのかも知れません。

http://meigen-ijin.com/jeancocteau/

http://www.gibe-on.info/entry/pablo-picasso/

ジャン・コクトーやパブロ・ピカソ、両名ともベルルッティの顧客でした。どちらも個性の強い、アバンギャルドな画風が注目されますが、それは正確なデッサン力があるからです。線が結び、重なる事でデッサンに命が宿ります。唯一無比の作風、ベルルッティの『カリグラフィ』との共通点があるように思えてなりません。

彼らが、どのベルルッティを選んだのか、正確な記録を見つけることはできませんでしたが、磨き込んだベルルッティを履き、新しい恋人の元へ向かったのではないかと想像しています。人それぞれを人生を吸い込むことでベルルッティは成熟度を増していくのです。

 

定番アイテム紹介

ALESSANDRO (アレッサンドロ )フォルム:DÉMESURE(デムジュール)レザー オックスフォード Nero

https://www.berluti.com/en-int/alessandro-demesure-leather-oxford-leather-sole/S1412-V1.html?dwvar_S1412-V1_color=K01&cgid=shoes&to=45#viewtype=grid-view-small&sz=72&to=45&start=1

創業者アレッサンドロの氏名を関したベルルッティを代表、一番人気のあるモデルです。ヴェネチアンレザーをホールカットで使い、シンプルなデザインで仕上げています。それだけにパティーヌの美しさがより強調されたています。

SCARS(スカーズ)フォルム:DÉMESURE(デムジュール)オックスフォード TOBACCO BIS

https://www.berluti.com/ja-jp/scars-sukazu-forumu-demujuru-reza-okkusufodo/S1765-V2.html?dwvar_S1765-V2_color=M04&cgid=shoes&to=92#viewtype=grid-view-editorial&sz=105&to=92&start=1

「スカー」とは傷のこと。大胆な切り返しがまるで傷跡のように刻まれています。また後ろ側半分にカリグラフィーを施し妖艶なイメージ印象を残す一足です。内張りにふかい緑を配色するなど、どこまでも罠が仕掛けられています。

Andy(アンディ)フォルム:DÉMESURE(デムジュール)ローファー Cognac

https://www.berluti.com/ja-jp/andy-demesure-buru-reza-rofa/S4301-V1.html?dwvar_S4301-V1_color=M24&cgid=shoes&to=48#viewtype=grid-view-editorial&sz=114&to=48&start=1

ローファータイプのアンディですが、コバ部分に白いアクセントを施すことでエレガントな味付けを忘れません。日焼けした足首を見せるため、素足で履くのが余裕の表れでしょう。コニャックという色調もフランスならではと感心するばかりです。

ベルルッティの商品はとても高価です。そして商品の取り扱い、メンテナンスにも細心の注意を払っています。卸販売はなく直営店でのみ購入が可能です。ショップスタッフの会話を通じて、ベルルッティを体験することが大切だと考えています。雑誌やネットの情報に左右されることなく、自分自身の1足を探し出せばいいのです。

 

ベルルッティを手にすると、週末の過ごし方が変わるかも知れない。

http://forzastyle.com/articles/-/46764

ベルルッティには限られた顧客を招いて、晩さん会が催されると言います。『スワンクラブ』という社交の場です。恭しくフルコースが振る舞われた後に、招待されたゲストたち自らが持ち込んだベルルッティを磨きあげます。そこではドン・ペリニオンやクリュグなどのシャンパンが供され、それを染みこませた布で艶を呼び出すのです。さらに香りづけにもなるのだとか。

https://matome.naver.jp/odai/2138759232685081901

会話を楽しむことも大切ですが、ベルルッティと静かに向き合う時間も必要です。コクトーやピカソの画集、またはランボーの詩集をひも解きながら、時間をかけてベルルッティを磨き上げる週末。ベルルッティとの逢瀬を重ねることで、人生が熟成いていきます。

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