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英国紳士御用達の革靴。憧れの「ジョン・ロブ」を誰よりも知りたい
ジョン・ロブと言えば、革靴を好きな方なら知らない人はいないでしょう。最上級の品質と、積み上げてきた歴史。それを身に纏えば誰もが気高く振る舞う英国紳士。
そんなジョン・ロブですが、イメージが先行し、その背景をご存じない方も多いのではないでしょうか?今回の記事では皆様にジョン・ロブをさらに愛してもらえるように、ジョン・ロブにまつわるエピソードや定番の既製靴をご紹介いたします。
ジェームズ・ボンドも愛したジョン・ロブ。邪(よこし)まなつま先。
http://ichioshi-sect.info/007/
ショーンをジェームズに変えたスーツとジョン・ロブ
ジョン・ロブをはじめ英国紳士御用達アイテムを語るとき、ジェームズ・ボンドを避けて通ることは出来ません。歴代ボンドの中でももっともボンドらしいといえば?ショーン・コネリーを推す方が多いのではないでしょうか。彼とジョン・ロブとのつながりはいかに?
ボディビルダー出身の垢抜けない俳優、ショーン・コネリーを一躍有名にした映画といえば、1962年公開『007ドクターノオ』(邦題:007は殺しの番号 日本公開は1963年)でした。
『ウィンザーノットを好むやつは信用できない。』
なかなか挑発的なフレーズです。この作品で監督を勤めのはテレンス・ヤング。彼の意気込み、ジェームズに対する思いがあふれる言葉です。
彼はイアンフレミング原作のジェームズ・ボンドに近づけるため、いやそれ以上を目指しショーンの大改造に着手します。その徹底ぶりから『テレンス・ヤングこそジェームズ・ボンドそのものだ。』と言われたほどです。高級品を纏わせ、一流のレストランで飲み食わせ、女性との会話も指南します。
厚い胸板に似合うシャツをテーラーで誂え、特注のブラックスーツには黒のニットタイを小さなノットで結びました。
そして足元はジョンロブをはじめとする英国靴が選ばれました。
さらにテレンス・ヤングは、スーツ姿のまま一日を過ごすように命じたとか。シャワー以外、寝るときもスーツを脱ぐことを許さなかったと言われています。こうしてショーンはボンドへ近づいていったのです。
凛々しく包む、ややロングノーズのフォルム。
アストンマーチンを加速させるときに踏み込むストレートチップ。
敵と対峙し、足元に募る緊張感。
残念ながらこの映画で採用されたのは英国靴の老舗チャーチだったそうですがテレンス・ヤングのコンテでは、ジョンロブを身に着けたボンドの姿があったのではないか。想像すると楽しくなります。
ロンドンのバンカーが愛するジョン・ロブ
ジョンロブは戦う男が持つ槍または矛のような存在だ、とは言いすぎでしょうか。ジェームズに限らず、また映画の中だけでなく、男たちは日々戦っているのです。
世界経済に影響をもたらす、ロンドンの金融街『City』。
ここで働く、そして戦うバンカーにジョンロブの愛好家が多いそうです。
この街での成功は、ジョンロブのオーナーになれるというステータスにつながっているのです。
ジョンロブの名品『City』とは、そうした逸話からインスパイアされ命名されました。
足入れしたときよりも、数分するとフィット感が増してくるのが分かります。
革が呼吸しながら吸い付いてくる感じです。
戦う決意が、足元から逆流してきます。
https://antenna.jp/articles/1200582
紐を締めなおし、背筋を伸ばす。戦場に向かう準備が完了です。
ジョン・ロブの歴史
小さな工房で、歴史は始まった。
始まりは1866年、ジョン・ロブ氏が手作りシューズメーカー「ジョンロブ」を創業しました。しかし思うように業績は上げられず、思い切った行動に出ます。修行を重ねた靴職人ジョン・ロブ氏は新天地を求め、ゴールドラッシュに沸くオーストラリアに渡ります。ジョン・ロブの歴史が動き出します。
炭鉱夫用の靴作りで大きな成功をつかみ帰郷すると1862年には万国博覧会で金賞を受賞します。その功績が認められイギリス皇太子に乗馬靴を献上し、英国王室御用達を賜るという名誉につながります。
さらに、紳士靴のビスポーク専門店をリージェントストリートに構えると、王室が求めた技術というジョンロブの噂が一気にに広がります。
こうして上流階級や政治家に向けたビスポーク専門の工房として基盤を固めていきます。
エルメスのもとでさらに熟成する。
噂はイギリスだけにとどまらず、ヨーロッパ全土に広がり、求められるままにパリに出店を果たします。
あくまでビスポーク専門店として営業しましたが、1976年経営難に陥り撤退を決意することに。
しかし、この事態が思わぬ事業転換をもたらします。ジョン・ロブの技術を認めるハイブランドエルメスが買収を申し出たのです。
通称『ジョン・ロブパリ』の設立と、ビスポークで培った技術を生かした既製品(レディメイド)コレクションを発表します。1982年の事でした。
新生ジョン・ロブが目指した、更なる高み。
既成靴とハンドメイド、いずれも最高の技術と審美眼で届けられるアイテムは世界各国の靴好きを凌駕することになります。現在ではヨーロッパ、アメリカ、アジア圏では日本、中国、韓国、台湾にブティックを展開しています。
さらに注目されているのは、2015年秋冬からクリエイティブディレクターを努める女性デザイナー、パウラ・ジェルバーゼ(Paula Gerbase)の存在です。
自身のブランドで活躍する一方、サヴィル・ロウの老舗テーラー「ハーディ・エイミス」や「キルガー」などで修業を積んできた人物です。
女性でありながら、英国紳士の真髄を理解するデザイナーなのです。
紳士靴一筋150年の歴史の中で、彼女の採用はどのような変革をもたらすのでしょう。注目が集まっています。
ジョン・ロブの魅力を紐解く。
最高級素材、フルグレインレザーの引力
現在ジョン・ロブの既成靴は、英国靴の聖地ノーサンプトンで生産されています。
多くのモデルに採用されているのは「フルグレインレザー」という革。それは体毛を丁寧に取り除いた一切加工の無い、日本語では「銀付き革」と呼ばれ、銀面(動物の皮の表皮を削ったすぐ下の層)を残した皮革最も外側の部分。
外皮に近いことから耐久性が高いのですが、やわらかい質感を持ち包み込むように足に馴染んでくれます。
190を経てたどり着く境地とは?
妥協を許さない厳しい視点と緩やかな遊び心がジョン・ロブを支えています。天然の皮革ゆえの傷やシワ虫刺されのあとなどを入念にチェックし、選び抜かれたものだけがジョン・ロブの製品となることを許されます。
続いて工程への妥協もありません。熟練の職人達が190もの工程を重ね、それは50時間以上も費やすと言われています。
選び、許された素材と愚直なまでの技術力が融合することによって、ジョン・ロブはジョン・ロブという命を得るのです。
ジョン・ロブのコレクション
まずは既製品の紹介をしてまいりましょう。どのコレクションも魅力的なのですが、すべて紹介するのは到底無理です。男ごころをくすぐるものを選りすぐりました。画像だけでは紹介しきれない革の陰影、色気のあるヒールリフトなどは実際手にとって堪能してください。
JOHN LOBB CITY 2 キャップトゥ オックスフォードシューズ
https://item.rakuten.co.jp/z-craft/1275-0002/
5ホール、内羽式。真一文字に結んだストレートチップは寡黙で信頼の厚い銀行家を象徴しているようです。グレースーツを着て、白いドレスシャツにクレスト入りのレジメンタルを結ぶ。袖口には祖父から譲りうけた腕時計。男らしい紐靴がバンカーには似合います。
ウィリアム2 カーフレザー ダブルモンク
重厚という言葉が相応しいモンクストラップです。フラノなど秋冬の誂えに足元を引き締めてくれます。デニムではずすというのも一興です。ストレートでも変化球でも受け取ってくれる頼もしさがあります。
ダブルモンクシューズ ウィリアム2 E 9795 メンズ 01.パリジャンブラウン
モンクストラップというシリーズでは上記モデルと同じ印象ですが、パリジャンブラウンという響きにやられました。木型はウイリアム、ジョン・ロブのアイコンといっても過言ではありません。仕上げにハンドソーンを採用することで適度な遊びが生まれフィット感が増すのです。
ホールカット プレステージソール ホールカット
『美しい』。踊りだしそうな印象のホールカットです。軽やかですが、決して踏み外すことはない、まるでジェームズのような・・・。そしてソールのコントラストも可愛らしい。大切に手入れして長く愛したい一足です。
ビジネスシューズ Phillip II Oxford
いたって控えめなデザインです。なので価格を聞けば驚く方も多いと思います。実用性を比べても仕方ありませんが、女性にとってのバッグだと考えてみてください。だからこそ(繰り返しますが)だからこそ、一足は持っておきたい名品なのです。
ローファー Lopez leather penny loafer
これも名品。フォルムは英国・本格靴の面構えなのですが、色の陰影などはイタリアやフランスのエッセンスを感じます。ここにもエルメスの影響が見て取れるようです。ネイビーや黒のパンツを履き、通常であれば靴は黒というところですが、このブラウンで主張する。いやらしく映らないからジョンロブなのでしょう。
贅沢とは違う。ビスポークだから日常になる。
既成靴であっても相当に高額なのですが、ビスポークとなると異次元の心構えと覚悟が必要になります。
何故なら、“フルオーダーシューズ=ビスポーク”は創業以来150年余の歴史と伝統を誇りと素材選び、技と製法、探求心、履き心地が生み出すのもだからです。
一切の妥協が介在しない、現代の芸術品とも言えるかも知れません。
https://www.johnlobb.com/ja_jp/bespoke
パリのビスポークアトリエには約20名の職人が在籍しますが、ラスト(木型)をつくることができる“マスターラストメーカー”の称号をあたえられた熟練の職人は3名しかいないそうです。
限られた職人たちが、選ばれた顧客に届ける満足こそがビスポークと言えるのです。
必然かも知れない。NIGOとジョンロブの出逢い。
http://openers.jp/article/14749
多くのビスポークファンの中で、意外なのがHuman Madeのディレクター NIGO氏です。
ジョンロブ ジャパン代表の松田智沖氏との対談では、ストリートファッションを席巻してきたNIGOならではの観点でジョンロブ、ビスポークの魅力を語っています。http://openers.jp/article/14749
彼の表現を借りるならば『スニーカー以上のフィッティング感』。これまでスニーカーをファッションアイテムとして可能性を広げてきた氏のコメントに興味をそそられます。
既製品では味わえないビスポークの良さ、だから日常のアイテムとして格上げしたい、そんな蠢惑的なことが言外に見えるようです。
一度作られた木型は半永久的にジョン・ロブのアトリエでアーカイブされるそうです。そしてオーダーがあれば、その木型の調整から始まります。憧れだけに終わらせてはいけません。
『いつかは、ジョン・ロブ』で納得できるか。
http://openers.jp/article/22463
ジョン・ロブが気になる、機会があれば試してみたいと思う方は既にさまざまなブランドを経験されてきたと想像できます。日本製の革靴デビュー、その後は時々のファッションに応じたシューズブランドを求めてきた。そして社会的なステータスも落ち着いた域に達してきた。『いつかは』ではなく、『そろそろ』と決断のきかっけを探しているのかも知れません。
靴入れの前に、覚悟が必要です。一度試して戻れなくなった方々を多く知っています。ジョン・ロブのショップスタッフの着こなしやアドバイスが素晴らしいのは勿論ですが、最終的に決めるのあなた自身です。魅惑に落ちたら、後は泳ぎきるだけです。
『いつかは』と納得するのではなく、ジョン・ロブという満足を手に入れましょう。
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